挙式当日に行う儀礼編

福井での婚家立ち寄りの流れの一例

①自宅着付け
自宅での着付けが済むと先祖に結婚することを報告して、感謝のお参りをします。
福井では現在でも「花嫁・花婿は自宅から出るもの」という考えが残っている地域があり、自宅で着付けをすることがあります。
②自宅を出発
婚家で輿入れの儀をする場合は、荷物を家紋入りの風呂敷に包んで車に積み込み、婚家へ出かけます(出発する際に相手方へ連絡します)。
③近迎え
男性方が女性方の営業車のところまで迎えに出ることを「近迎え」といいます。福井では現在も相手方の家に立ち寄る際、近迎えを行うところがあります。
親戚代表の合図で、男性方の親戚一同が正装で外に出て来ます。女性方は、男性方の自宅より少し手前でタクシーを降り、「お練り」を始めます。お練りでは、親戚代表を先頭に、女性、介添人、父親、母親、女性方親戚代表の順に縦に列になり、会釈をしながら歩きます。最近では本人の負担を軽くするためや時間短縮のために、歩く距離は随分短くなり、かなり形式的にはなってきているようです。車のトランクに積んできた輿入れの荷物は、男性方の人がお練りの後ろについて運び入れます。
④一生水の儀
婚家に入る前に玄関で「一生水の儀」を行います。一升マスとかわらけは、子ども(嫁入りのときは女児、婿養子のときは男児)がお盆の上に乗せて持ち、親戚代表がマスの中のかわらけを取り出して本人に渡します。一生水に用いたかわらけは、本人が自分で玄関の土間に落として割るところもあれば、親戚代表、子ども、介添人が割るところもあり、地域によって様々です。
⑤万寿まき
一生水を終えて婚家に入った際、2階の窓から親戚たちが万寿をまきます。お菓子や即席ラーメンを一緒にまくところもあり、近所の人が拾い合います。また、立地条件や地域によっては万寿をまかずに、手配りするところもあるようです。
⑥控室でおもてなし
一生水の儀が終ったら、男性方の親戚代表は女性方を控室に案内し、昆布茶もしくはさくら湯と落ち着き餅を出します。
⑦輿入れの儀
女性方の親戚が客間に輿入れの品(婚礼の品)を飾り付け、着座して男性方を待ち、双方が揃ったら受け渡しを行います。
・男性方の親戚代表
「ただいまより、お輿入れ包み受け渡しの儀を始めさせていただきます」
・女性方の親戚代表
「本日は、お日柄も良くおめでとうございます。この度○○(本人の名前)のお輿入れにあたりまして、袴料、御酒、肴、ご家族様の御土産、目録の通り納めさせていただきます」
・男性方の親戚代表
「本日は、お日柄も良くおめでとうございます。この度は、袴料、御酒、肴、ご家族様の御土産、確かに目録の通り、幾久しく受納いたします」
この後、一同はそれぞれ控室に入ります。
⑧仏壇参り
男性方の親戚は仏壇を開き、ろうそく、線香、じん香に火をつけます。女性方一同は仏壇の前に案内されたら、先祖に結婚の報告をする意味でお参りをします。このとき家族、親戚もお参りします。先祖への報告とお参りが済んだら、地域によっては万寿まきをするところがあります。その後、控室にいる女性方一同には、そばを出すところや赤飯を出すところがあるようです。
⑨ご近所挨拶まわり
仏壇参りが終わったら、男性方の親と女性本人、介添人は近所まわりをします。誰が一緒にまわるかは地域によって違いがあるようです。
丹南地方では、女性方の父親(戸主)、付添い人に続いて、男性方の親(嫁入りの場合は母親、婿入りの場合は父親)、本人、介添人がまわります。このとき、万寿、風呂敷(もしくはそれに代わるもの)、扇子料の包みを配ります。風呂敷の包みには、女性方の父親(戸主)の名前が入ります。
福井のしきたり
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